主な作品の紹介
勝負星 
 3巻以降があるかは不明。
 大阪の中学生「一色銀次郎」は「天満の竜」と呼ばれる無敵の麻雀打ち。
類いまれな強運を持つ彼は「麻雀は運の勝負」とうそぶいていたが、麻雀名人
「神津恭之介」に破れ彼に弟子入りすることを決意するが・・・・
  麻雀モノだが、教養小説/ビルドゥングスロマン/成長物語 としての構造を明確に持っており、マージャンというゲームの「運と技術」の問題に真正面から取り組んでいる点など、初期のマージャン物の傑作だと思います。
梟たちの唄
 


 コミック1000とバンブーピカレスクシリーズの二つのシリーズがあるが、写真はコミック1000の方。
 主人公は「剣崎五郎」。大学を卒業後、入社した新聞社「大都タイムス」/ 社会部での彼の活躍、並びに彼の周囲の人間模様を描いた作品。
  基本的に一話完結読みきり形式(約60ページ/一話)で全9話。
 


懸賞狼 
 鬼本堂と呼ばれる名うての麻雀打ち/バクチ打ち、本堂が主人公。
愛する女「礼子」のためにバクチから身を引く決心をした本堂は、彼にムリヤリ「代打ち」をさせようとする、暗黒組織の首領に逆らい、結果、礼子を殺されてしまう。復讐鬼となった本堂は、「殺し屋」を雇うために100万ドルの大金を「賭け麻雀」で稼ぐことを決意する。遂に百万ドルを手にし、殺し屋の手によって「復讐」を成し遂げるラストで白髪頭へと変貌していく本堂。雪上に倒れる彼に降り注ぐ雪が麻雀牌に変わるラストシーンは素晴らしい。
  辰巳さんらしい、マンガチックにして劇画?みたいな作風が生きた佳作だと思います。
 全2巻と思って、買ったら結局全3巻だったり、乱丁の巻があったりと、収集には苦労しました。そんなこんなで、ダブりが何冊かあります。
怒侠原野 
 戦後の混乱期より北海道を舞台にして始まるこの作品は任侠物として「知られざる傑作」だと思う。梶川氏が北海道出身であることが、どこまでこの作品に影響・関連してくるのかは不明だが、「何らかのモデル」は存在するのかもしれない。(暗黒街史に詳しくないのでなんとも言えませんが)。ちなみに舞台は「千幌」という架空(と思われる)の都市。
 主な登場人物は元海軍特別攻撃隊員の「「朽木鉄男」、愚連隊北極会を組織する「小暮栄二」、北海道大卒のインテリ金融業者「野火譲治」。 物語としては、割と複雑で、要約が難しいですが、後半は北海道組織と本土の大組織との抗争が主テーマになります。
 戦後の混乱期を舞台にした物語作品は数多いと思いますが(自分は詳しくないが、任侠映画なども代表例だと思います)、その中でも、この作品は、割と複雑な物語世界を持っている方だと思います。全体を通して読むと構成に無理があるような気がするのですが、物語全体のスケールの大きさは特筆すべきものがると思います。
 大傑作になる可能性が大いにあった作品だと思います。長谷川さんの力も大きいでしょうが。
 幸運にもゴラクコミックス版を入手できました 。
悪党商売 
 極悪死刑囚「本堂武」は死刑執行直前に「ある権力筋」によって死刑を免れる。その「権力筋」は本堂に「秘密のフィルム」の奪取を命じる。本堂は昔の仲間と共に、「フィルム」奪取に乗り出すが・・・・
 そのフィルムには現職の総理大臣がヘロインを注射するシーンが撮影されていた・・・そして、悪党たちと「権力」の熾烈な争いが繰り広げられる。

 いくぶん尻つぼみ?みたいに終わるのがちょっと残念な気もしますが、本堂と「横須賀マリー」とのロマンスなどもあり、なかなかに読ませます。
 総理大臣が中毒患者というアイデアは梟たちの唄の1編でも使われています。
賭けゴロの鉄 


賭けゴロ」とは気の荒い沖仲仕や炭坑夫の間で行われる命を賭けた喧嘩(ゴロ)のこと。そして、金だけが目的のプロの喧嘩屋(ゴロ屋)という者が存在する。 物語は昭和30年の北海道の夕張炭坑を舞台にスタートする。プロの喧嘩屋「花田鉄次」と相棒の「源ちゃん」は、花田がプロであることを隠して、「賭け」を行い、ひともうけをタクラむが、正体を見破られ、「源ちゃん」は怒りを買った炭坑夫たちに殺されてしまう。スカウト「白木」にスカウトされた花田は暗黒街の格闘技ギャンブルの「賭けゴロ選手・プロファイター」として様々な選手と戦っていく・・・・・・
 「賭けゴロ」なるものが実際に存在したのか、想像するしかないですが、格闘マンガとしてみれば、割と早い時期のものだと思います。格闘とギャンブルを組み合わせるあたりに、原作者・梶川氏の偉才を感じます。もちろん、梶原一騎の影響はあるのでしょうが、異種格闘技ものとして捉えれば、なかなかに興味深いと思います。 
 版型がこの手のものには珍しく新書版です。


ハクダイのカカ
 
原作者・梶川良
 
 初めて読んだ梶川良原作品は、
辰巳ヨシヒロ・画のマージャン物「懸賞狼」だった。
自分は辰巳ヨシヒロ作品を集めているのである。
辰巳氏らしい、とぼけた味と悲しみが同居する、この読みきりシリーズ「懸賞狼」の次に読んだ梶川良作品は
「怒侠原野」長谷川法世(画)だった。

この2作を読んで、自分の中での梶川良にたいする評価
は絶対的なものになった。
これは、ひょっとして凄いんではないか? 
 
 単行本数は比較的多いような、少ないような微妙な作家だが
(小池一夫や武論尊と比較しても始まらんし・・・・)。
 ルポライターだったという経歴を生かした(と思われる)
新聞記者物「梟たちの唄/ フクロウたちのうた」、
時代劇版記者物の「紅刷り夜太」は、
この原作者の独自の境地のモノだと思う

 青年・成人誌での活動がメインでマージャン物も数多く手がけている。
少年誌連載は数少ないと思われるが、
1978年、週刊少年マガジンでの
「ふたりだけの土曜日・(画)野田たみ樹」がある。

 正確にはわかりませんが、1980年代中ごろを最後にマンガ原作の世界から身を引いていたようで、その後は編集プロの社長として活躍されているようです。
 2004年現在、連載を抱える「現役」原作者です。

    
★★ プロフィール ★★

 梶川良(かじかわりょう)
マンガ/劇画原作者

・本名:不明(未調査)
・生年月日:1948年(昭和23年)5月6日
 北海道生まれ

・ルポライターを経て「狼の荒野」でデビュー

・参考文献: 「賭ゴロの鉄」表紙カバー見返し 

●更新履歴
・2003/12;作成
・2004/4;スタイル改定(ファイル名変更)、p2リスト補追
・2015/4 ページ統合
単行本のリスト(画像なし)
作画担当 タイトル タイトル・ヨミ 全巻数 出版社 シリーズ名 版型 一巻
初版
備考
緒方恭二 裁くのは俺だ サバクノハオレダ 1 日本文華社 文華コミックス B6 1979 o
川本コオ ギャンブル警察 ギャンブルケイサツ 1 コミック社 コミック100 B6 1977 o
神田たけ志 梟たちの唄 フクロウタチノウタ 2 コミック社 コミック100 B6 1978 o
2 竹書房 バンブーコミックピカレスク B6 1985 w2
安藤昇麻雀十番勝負 アンドウノボル〜 竹書房 近代麻雀コミックス B6 2003 o1
北野英明 勝負星 ショウブボシ 2・? 芳文社 芳文社コミックス B6 1983 ?n3,od1
大陸博徒 タイリクバクト 3 日本文芸社 ゴラクコミックス B6 1979 o
甲良幹二郎*2
紅刷り夜太 ベニズリヤタ 4 リイド社 SPコミックス B6 1985 o,od1,od4
ケン・月影 頼まれジョー タノマレジョー 1 コミック社 コミック1000 B6 1978 o
沢本英二郎 七人の雀鬼 シチニンノジャンキ 1 日本文芸社 ゴラクコミックス B6 1980 o
辰巳ヨシヒロ 懸賞狼 ケンショウオオカミ 3 久保書店 ワールドコミックス B6 1980 o
田丸ようすけ 男一匹物語 オトコイッピキ〜 2 日本文芸社 ゴラクコミックス B6 1978 o,d1
無頼メス ブライメス 1 双葉社 アクションコミックス B6 1976 o
中野喜雄 *1
セメント・マリー セメントマリー 1 日本文芸社 ゴラクコミックス B6 1985 o
長谷川法世 怒侠原野 ドキョウゲンヤ 4 日本文芸社 ゴラクコミックス B6 1981 o
4 竹書房 バンブーコミックピカレスク B6 1985 w1,3,4
葉原アキ 雀狂ブルース ジャンキョウブルース 1 桃園書房 桃園コミックス B6 1978 o
葉原アキ 雀狂お京秘牌控 9編のうち2編のみ 1 グリーンアロー出版社 グリーンアローコミックス B6 1978 o
ほんまりう 売人風雲録指ぐれ ユビグレ 2 日本文芸社 ゴラクコミックス B6 1986 o1,n2
売人勝負嵐 1 日本文芸社 ゴラクコミックス B6 1986 od
政岡としや 悪党商売 アクトウショウバイ 2 双葉社 アクションコミックス B6 1981 o
賭ゴロの鉄 カケゴロノテツ 2 実業之日本社 オールコミックス 新書 1976 o
村岡栄一 新宿麻雀物語 シンジュク〜 1 双葉社 アクションコミックス B6 1979 o
森義一 雀狼伝 ジャンロウデン 1 日本文華社 文華コミックス B6 1977 od
和平俊秀 雀狼鬼/孤独編 ジャンキロウ/コドクヘン 1 桃園書房 桃園コミックス B6 1978 od
*1; 6編のうち1編のみ梶川原作。
*2;さいとうプロ作品
ハクダイのカカク