ハクダイのカカク
Hakudai no Kakaku

新撰組のマンガを幾つか


個人的な感想などを



2004年のNHK大河ドラマは新撰組だった。
三谷幸喜・作ということもあって、普段テレビドラマを全くと言って見ないハクダイですが、
毎週録画して見ることにしました。
ここ、10年以上、テレビに関心が薄かったせいもあって、
俳優さんたちが、初めて見る方々ばかりで、非常に新鮮で、
イイ俳優さんが沢山いるんだなあ、などと、、スットボケタ感想を抱きつつ、
見始めること数ケ月。改めて、「新撰組」という「ワールド」の広がりと深さに気づき、
毎週楽しみにしている自分を発見したのでした。

ですが、考えてみると、自分の「新撰組知識」は非常に貧弱なのでした。
映画、TVドラマ、マンガ、小説、媒体問わず、自分が知っている知識の貧弱なこと・・・・・・。
まあ、ほぼ1年間の大河ドラマを見終えた今でも、「貧弱」には変わりないのですが、
相対的には・・・・汗、・苦笑。

個人的な思い出なども絡めて、自分の新撰組マンガの感想などを書いてみたいと思います。
しかし、小説、マンガ・・・・・新撰組モノは、たくさんあるので、
自分の読んだ量の貧弱さが恥ずかしいです。
と言うより、新撰組物ファンの方、御免なさい(マジで・・・・)


書影は、基本的に無しにしました。
いろんな版があるしさあ・・・・・皆さんの方が凄く詳しいだろうからさあ・・・・・・
汗ッ

手塚治虫・「新撰組」
 
 25年以上前の中学生時分に読んだ。講談社の全集を、どういった経路で入手したかは失念したが、とにもかくにも入手した。どういうわけか、カバーが欠けていて、「新撰組・手塚」と聞くと、灰色の無地の表紙が、まず脳裏に浮かびます。この本は、未だにカバー欠の状態で倉庫に眠っていたりします。
 その5年後くらいに、COM版の軽装版(A5)を入手したのですが、これも、ビニールカバー&糸綴じ(貸本仕様と思う)があり、程度は悪いです。

 
中学1年生の自分は、手塚さん描く「新撰組・ワールド」に感銘を受けました。ブラックジャックなど、好きな作品も多かったですが、どうも、シックリ来ない手塚作品も結構多かったので(あくまでも個人的な感想ですよ・・・・苦笑)やはり、手塚さんは凄いんだと、妙に納得したのを思い出します。最近、眺め返してみたら、新撰組は「私闘」を禁じていたのでは?などと、変に勘ぐってしまいましたが、「時代に翻弄される青春」を見事に活写していると思います。

望月三起也・「俺の新撰組」
 
 週刊少年キングに連載中(確か1980年頃)にリアルタイムで読んでいました。印象に残っているキャラクター造形は近藤、土方、沖田の3人ですが、主人公格の土方の造形(顔)が、「飛葉・ワイルド7」タイプでは無く、ジャパッシュの『日向光」タイプのところが、興味深いです。「美男子」とされている、土方なので、飛葉スタイルでもOKだと思うのですが・・・・。それと、沖田の天真爛漫さの描写が際立っていたように思います。近藤さんは、実際の年齢より老けて見えたなあ、と今になって思います。少年マンガ的な活劇的面白さも盛り込みつつ、リアルな人物造形に、望月氏の凄さを今更ながら、実感するばかりです。
 望月作品としては、結構異色の部類?に入るのではないでしょうか?女性関係とか、少年誌では不可能な話題なども「有り」の「大人版・望月三起也解釈の新撰組」を是非、読んでみたいものです。望月さん自身は興味が無いかもしれませんが(苦笑)
 正直、細部は、よく覚えていません。(残念ながら・・単行本を入手して、再読してみたいとは思っているのですが・・・・苦笑。
 

水木しげる・星をつかみそこねる男
 
 近藤勇の評伝的な要素もある、この作品、政治マンガ「ヒトラー」の項で書いたことと同じですが(苦笑)、水木さんの人生観・社会観を色濃く反映した傑作だと思います。富や名声に対する人間のどうしようも無い性(さが)、そして、「いわゆる成功」を手にするか?それとも「惨めな人生」を送るかは、ほんの紙一重である、という諦念。近藤勇を「勘違い?の人」と揶揄しているような側面も有りますが、深い愛惜の念も込められているのが、痛いほど伝わってきます。
 剣術に没頭する近藤勇の父(郷士)を「踊る宗教」に近い、と皮肉る作品冒頭と、狂言回し的な「小六・少年(こども)」が京都に近藤の首を捜しに行くラストまで・・・・・・・当たり前ですが、娯楽作品としても絶品です。

  新撰組の下級隊士・吉村貫一郎のエピソードでの幾つかのセリフには、何も言う事アリマセン。
・「私の妻子を養うだけの給料をくださればよいのです」
・「まるで忠義を売り物にしているみたいだ」・・・・「それでよいではございませんか」
   
・・・余談ですが、この吉村エピソードの32p分のみ、なぜに、版組みが変わるのでしょうか?
                A5貸本か付録マンガのように3段組になる。


 気になった点を幾つか・・・・
・甲府城在番の佐藤駿河守の造形(モデル)は「長井勝一氏」のような気がします・・・(苦笑)
・つげ義春氏が手伝っているような・・・気がします(苦笑、汗)

 
里中満智子・浅葱色の風−沖田総司

 少女マンガにどうしても馴染めないハクダイは、努めて「読む」ようにはしているのですが(何だか?)、一向に好きになれません。新撰組モノなら読めるかなあ?と邪心?一杯で読んでみました。
いい意味でも悪い意味でも、「分かりやすい印象」の作品でした。恋愛マンガとして読んだ方が良い?というより、最初から恋愛モノとしての要素を多分に持たせて描かれているようです。キャラクター造形が皆さん、とても美男美女で、そのせいか、殺伐とした雰囲気もあまり感じられません。歴史モノとしては、「公平」に読めそうです。
個人的には近藤勇がカッコいいです


壬生狼(真説新撰組)・久保田千太郎・園田光慶
 
 とかく、悪役・困りモノ的な印象ばかりがある、「芹沢鴨」の視点から新撰組の実情に迫ろうとした作品で、まさにハードボイルド時代劇の傑作。徹底して、虚無感を感じさせる硬質、無機質な作品世界は、劇画の表現世界では、稀有なものかもしれません(小説では、少なくないかもしれませんが。)
  芹沢鴨の悪事が近藤勇との「ある種の同意」を背景に行われたとの、視点は興味深いです。水戸藩時代、慶喜公の教育係であった過去など、へエーでした。

 園田さんの筆致がひところに比べ、細い感じになっている時期のモノなのだが、自分はターゲット・あかつき戦闘隊あたりの絵柄が好きなので、どうにも、この細いタッチには、魅力をいまいち感じません(嫌いではないのだけど)園田さんゴメンナサイ。


爆笑新撰組・爆笑人物笑史 シブサワ・コウ編
1993年 褐栄 B6版
 
 マンガでは無いのですが、カバー表紙が高橋葉介で、本文イラストは高橋、水上有理、しおざき・のぼる、水龍の4氏が担当。
コンビニに置いてある、「ウンチク文庫」みたいなモノを想像してもらえれば、そう検討外れでは無い内容ですが、高橋葉介のイラストが良いので買っちゃいました。高橋さんは、少し茶目っ気のあるイラストなどもあって、ナカナカに読ませる内容です。

 しかし、新撰組に関するエピソードは、どれがホントで、どれが創作なんでしょうかね?。まさに神のみぞ、知る、です(苦笑)。時代背景の複雑と、登場人物の多さ、「作品ワールド」はある程度、複雑であってこそ、魅力的だということだと思います。
ハクダイのカカク