ハクダイのカカク
Hakudai no Kakaku
ハクダイのカカク
Hakudai no Kakaku

政治マンガを読む


 
 随分と立派な見出しですが、「政治」について、私が知ってることは・・・
ダメだ、コリャ。勉強不足だ。
なんだか良くわかりませんが、独断と偏見で
「政治マンガ」を4つほど、選んでみました。
どうしてこれが、「政治マンガ」なんだ!!という罵声
が聞こえてきそうですが・・まあ、御容赦を

ヨシイエ童話

業田良家
初出
講談社ヤングマガジン
1989〜1991
あらすじ

みどころ
etc

 
 自虐の詩でブレイクした感が無きにしもあらずの業田良家だが、自虐の詩が、たまたまの傑作ではなく,、力量のある業田だからコソ生まれた「大傑作」であるいうことを、このヨシイエ童話は思い知らせてくれる。
ステテコ姿で、日雇い労働者のような風体の源さんが内閣総理大臣として、日本の政治を変えていく。
ギャグマンガそのもののストーリー展開で、実際、そういう側面もある。あえて童話としているのも、荒唐無稽なお話(寓話)だからこそ、本質を突ける、という点で正しい。
源さんは、6人の女性たちと重婚しており、近代、人類の歴史全般への作者の深いマナザシが伺えます。
 このマンガを読んで感じたのは・・・・
・富の再分配、富の分配の決定が即ち政治である。
・政治家とは、誰が何の目的でその存在を生み出したのか?

・登場する政治家たちは、実在の政治家たちのパロディで、似顔もうますぎ。 この作品が話題にならないのは、実在する政治家たちへの「配慮」
が働くためと推測(邪推?)しています。


講談社ヤンマガKCスペシャル
全7巻
(4巻までが政治編;
特に巻ごとに、〜編という記載は無し)
1巻;1990/10初版



国民クイズ

STORY;杉本怜一  ART;加藤伸吉
初出
講談社モーニング
1994〜1995
あらすじ

みどころetc

 国民の意思決定の方法として、議員内閣制は適切なのだろうか?多数決原理による意思決定は「正しい」のだろうか?
この問題に、真正面から取り組んでいる快作・怪作・力作・傑作・・・・です。

 国民、この言い方が好ましくないというなら、市民でも有権者でも、人民でもなんでも良いが、その「国民」の欲望を際限無く叶えてあげたら、どうなるか?一人一人の欲望こそが、あらゆる価値に優先する。そう「欲望民主主義」。人々の「欲望」はあらゆる点において、均等で、平等である、。欲望の質には、貴賎、善悪、低俗も高尚も関係ない。全ての欲望はフラット。一生遊んで暮らしたいでも、ワインの輸出を制限してくれでも、飼い犬を探してくれでも・・・上司を刑務所行きにしてくれでも・・・・とにかく、国民クイズに参加して、勝ち残れば、どんな欲望でも、国家が叶えてくれる。まあ、クイズに不合格となると、長期の強制労働が待っていたりと、それなりにリスクはありますが。
 
 テレビで毎日放映されるテレビ番組「国民クイズ」の司会者「K井K一」を主人公に据える形で、経済大国として、世界(地球全体)に対して、絶対的な(わがまま・横暴な?)パワーを行使する「近未来・日本」を舞台に物語は進行する。「国民クイズ体制・打倒」を企む「独立国家・佐渡島共和国」と「国民クイズ体制・日本」との闘いの行く末は?
 そして、 日本国民が最終的に支持する「政治体制」とは?





講談社モーニングKC
全4巻

1巻;1994/5初版

単行本としては
太田出版場版もある


ヒットラー

水木しげる


初出;漫画サンデー
あらすじ

みどころ
etc

 いわゆるマンガ的なドラマの面白さ〜立身出世や活劇物のような〜は期待できる作品では有りません。まあ、ヒットラーの生い立ち、生涯、歴史的な政治活動について学ぶにはカッコウのテキストではありますが(このマンガを読むまで、全く知らなかったという自分が言うのだから、アテにはなりませんが)。

 「独裁者」というヒットラーのイメージをそのまま展開して、横暴な「ヒトラー像」を作りあげることも、容易でしたろうし、その方が読者受けもしたのかもしれませんが、水木さんの造形した「ヒトラー」は、「小心でどこか憎めない」感じの「普通の男」という感じで、滑稽な印象さえ抱かせます。

 水木さん独自の人生観・世界観が見事に作品に反映した傑作だと思います。水木さんのこの絵、〜リアルではあるのだけれど、穏やかで、少し抜けたような?〜が、あったからこそ、成立しえた「ヒットラー像」かもしれません。
ちょっと間違うと「喜劇」になりそうなところを、評伝として、見事に描ききっている傑作だと思う。




画像は講談社
KCデラックス(B6)
1985/4

単行本は他にも
幾つかあります
(詳しくなくてスイマセン)

ジャパッシュ

望月三起也
初出
あらすじ

みどころ
etc

 マヤの古代遺跡として発見された板には、歴代の世界征服者・独裁者の名が予言されていた。ぞして、1956〜 ジャパッシュと記述が・・・・
一人の少年「日向光」が、生まれ持った美貌と狡知で、人心(特に女性)を惹きつけ、日本国家の独裁者にまで登りつめるまでを描いた作品。「ジャパッシュ」とは、日向が率いる「結社」を指す。

 アクション物あるいは、ピカレスクロマンなのだが、面白いんだか面白くないんだか、どうにもスッキリしない「怪作」だと思います。が、望月三起也は、やっぱり凄い、と納得させられる「スケールの大きな野心作」だと思います。
主人公格の「石狩五郎」の顔には、傷があり、美貌の日向とは、対照的に、人々には怖れられる存在として描かれています。

  私なりに気になるポイントは

・望月さんは、戦争シミュレーションをやりたかった・・ような気がします。戦車などを使ったアクションもフンダンに描けますし。

・現行の政治体制/政府を転覆、クーデターを起こす〜シミュレーションものとしては、興味深い作品かもしれません。情報/IT、ABC兵器などへの目配りが無いのが残念ですが(30年前以上の作品だから仕方ないか?)

・政治家をタレント同様に選挙で選んでいくことへの警鐘は読み取れると思います。





単行本
双葉社パワァコミックス
全3巻
1巻初版:1977/12
・3巻は100pほどがジャパッシュで
短編を3作収録


単行本は他にもあるような気が・・
確か、
若木書房コミックメイト(違うかも)
あやしいもんでスイマセン。