ハクダイのカカク
Hakudai no Kakaku
ハクダイのカカク
Hakudai no Kakaku
貸本時代のアニメ作家たち
私が所有している貸本マンガコレクションより、その後、アニメ作家として活躍された作家の作品をまとめてみました。私のアニメに対する想いと知識と時間の掛け方はマンガに対するそれと、比較にならないくらい小さなものですが、アニメも、正直「大好き」です。ですが、実際、何か書くとなると、かなり「アヤシイ」ものです。
 
 皆様の何がしかの参考になってくれるといいのですが・・・・・なるかなあ?

 私事で恐縮ですが、管理人は絵が全くダメです。絵が描ける人への尊敬、羨望が異常なくらい強かったりします。そんな私には想像もつかない人生を、ここで取り上げさせて頂いた作家の方たちは、歩まれてきたわけで、苦労も多かったでしょうが、充実した人生であっただろうなあ、などとあれこれ夢想する40歳目前の管理人であります。
 昭和30年代は「熱い時代だった」んだなあ・・・ と、しみじみ思います。
収録作品名/著者名
作品画像↓ 掲載誌のデータは下記の短編誌の名前をクリックして下さい
超音シリーズ ジェットマン(第2回)
/鳥海やすと 
/ 迷路 第8号
 
 メカニック(戦闘機)の描写が凄いです。昭和34年という発表時期を考えると、結構凄い、戦闘機の描写だと思います。キャラクターが、覆面をしていたり、少々子供っぽい印象ですが、思い切って、読者の年齢対象を上げていたら?凄いことになっていたのでは?と妄想モードに入ってしまいます。
罠にかかった奴(ダイヤモンド小僧の冒険シリーズ)
/ 石黒昇
  迷路 第8号

 スマートな義賊のダイヤモンド小僧の活躍を描くシリーズですが、シャレていてカッコいいです。児童マンガテイストに溢れていますが、構成はさすがです。普段は私立探偵「大谷青年」であるダイヤモンド小僧の良き理解者である警視庁の玉枝警部がいい感じです(「タワシ警部」の影響下のキャラのような気がしますが・・・)

ざりがに/THE CROWFISH
(ダイヤモンド小僧の冒険シリーズ No.12)
石黒昇/
 迷路−19

 上欄の迷路8号掲載のダイヤモンド小僧と同じシリーズですが、作品世界は大きく変わっています。劇画的なというか、よりリアルな作品世界へと変貌してします。線(ペンタッチ)も太くなり、扱うテーマも、ウラ社会犯罪ものへと変化しています。
 ダイヤモンドシリーズは少なくても12回(話)分続いているわけですが、(私が所有しているのは2話分のみ)、このシリーズの変貌を追ってみれば、従来の「マンガ表現」といわゆる「劇画表現」の違いが見えてくるかもしれません。
〇(ゼロ)番街の男
/遠藤政治
 / 迷路−19

 いいカンジの40pほどの小編です。貨幣偽造用の工作機械の修理を依頼された自動車工の青年(少年?)の活躍を、リアルに描きます。殺伐とした雰囲気が無く、かと言って、児童マンガ的かというと、そうでも無く、しいて言えば、ちばてつやの世界に通じるものがあるかもしれません。キャラクター造形もちばの影響があるかも・・・
とにかく味わい深い作品です。

埠頭の乱撃/金山明博
1.2.3 ワン・ツウ・スリー No.24

 殺伐とした世界、拳銃も持った悪人たちの荒唐無稽とも言えるような、犯罪アクションものですが、どこか、カラッとした明るさがあります。「佐藤まさあき的な暗い雰囲気」+「陽気なアメリカ映画」とでも形容しておきます。キャラクターが皆、細身(スマート)で、爽快感があります。リアルさ重視という劇画表現の変化に馴染めずにアニメの方へ行ったのかな?などと想像します。

赤い凶銃/金山明博
 街 No.58 

 表紙・目次には「金山明博とあるのですが、作品扉には、「製作 金峰明博山と有ります。
 これも犯罪アクションものですが、「チンピラ3人集」の造形や「バイク用のヘルメット」のデザインに、アニメ的な素養を感じます。

投稿カット / 杉野昭夫 / 街 No.58

 残念ながら、杉野氏の作品(頁もの)はこの街には載っていないです。新人コンクール(第44回)の発表があり、入選作品として次号掲載の予定との記載があります。

赤い 満月/荒木伸吾
3人目 ザ・サード

 いや、この作品の完成度には舌を巻きます。80p超という頁数の多さも意外ですが、その80pを倦ませることなく、一気に読ませます。青い鳥を巡る少年(低学年の小学生くらい?)の冒険ファンタジーで、絵柄が可愛らしく、洗練されたマンガファンタジーとして、完成度が高いと思います。

 興味深いのは、著者が、作品の後に付けられた制作論考において、自作を「劇画」と形容していることです。荒木氏の劇画解釈(表現、呼称)がどういったものであるのか気になります。